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「毒菜(ドクチョイ)」という中国語をご存知だろうか。見栄えはまあまあでも、農薬がたっぷり残留した中国産の“汚染野菜”を指す言葉である。日本が輸入食材の安全基準を引き上げたのは昨年5月。表向き、食の安全は確保されたかに見える。だが、その実態は……。聞けば、中国人も口にしない大量の「毒菜」が、今も日本に輸入されているという――。
「飢えては食を択ばず」とは、宋代の禅僧、道原による「伝燈録」に収められた言葉である。だが、目下の中国では、たとえ飢えても、渇しても、食を択ばざれば、即ち、一命に拘わると見るのが常識だという。
(略)
年間6000億円以上も中国から輸入している農産物が、日々、スーパーの店頭に並んでいるのはご存知の通りである。その安全性について懐疑的なのは、中国事情に詳しい評論家の宮崎正広氏。「日本の大企業が現地支店に作らせている加工食品はかなり信頼できると思います。もし検疫で製品が止められたりしたら、大きなイメージダウンに繋がるので、厳しい自社基準を定め、検査要員を日本から送り込んで直接検査を徹底していますからね。問題は大企業とまではいかない貿易会社が扱っている農産物で、そういった会社は、検査要員を送り込む余裕などなく、中国人の仲介業者に全て丸投げなのです」
昨年5月、日本は残留農薬の規制を厳格化し、特別に残留を認める薬品を使用したもの以外の原則輸入禁止を始めた。だが、実際は、農産物がチェックなしに、水際を擦り抜けるケースが目立つという。
宮崎氏が続ける。「中国系の商人たちは抜け目がないので、例えば“今日、名古屋の検閲所は手薄だ”とか“横浜は厳しいらしい”といった内々の情報をリアルタイムで交換しています。その結果、目的地を横浜港から名古屋港に変えて規制の網をかい潜ってしまうのが常套手段になっているのです」しかも、水際防衛の抜け穴はこれだけではない。農民運動全国連合会の食品分析センターに籍を置く石黒昌孝氏によれば、「かりにチェックに引っかかったとしても、全品検査ではありません。点検率はせいぜい10%程度で、残りはそのまま通過しています。加えて、書類検査のみで通過する食品も沢山あります。ですから、検閲所の検査を通過しているからといっても安心することは出来ないのです」
では、スルーしてしまう農産物はどんな危険を孕んでいるのか。「中国産食品の中で特に危険なのは野菜です」。警告するのは、北京在住の日本人ジャーナリスト。「中国はその省ごとに独立した行政システムを持ち、他の省からの干渉を極端に嫌います。問題は、農産物のチェック体制で、仮にA省の仲介業者が、B省の農家から野菜を買い付ける場合、省が異なることがネックになって、その農家の農薬散布の状況を確認することはまずできません。このように省を跨いで取引される農産物は、遠隔地産農産物と呼ばれ、チェック体制が機能しないので、基準値を超える農薬が使われる可能性は非常に高いのです」
現在は日本に住む中国人ジャーナリストも、「怖いのは農薬だけではありません。漂白剤でお米やうどんを真っ白にしているなんていうのは可愛い方で、トマトを早く成長させるために夥しい成長剤を撒いた山東省の村では、4歳の女の子が生理になり、5歳の男の子に髭が生えたという話を聞きました。一昨年には、発酵を早めるためにプーアル茶の葉に下水を撒いた事件が発覚しましたし、去年は、下水に溜まった油を原料として食用ラードを作っている業者が摘発されました。奇形の家畜が生まれたニュースは日常茶飯事。政府は数年前から、上海や北京で野菜を買った場合、農薬を除去するために15分~30分くらいは水につけてから食べるようにと指導しているくらい」
より恐ろしいのは土壌汚染だという。中国問題に詳しいジャーナリストの水間政憲氏が説明する。「北京や上海、重慶などは長年の工業化のために、重金属が撒き散らされています。鉛やカドミウムなどの有毒物質が含まれていて、その土で野菜を作っているわけです。カドミウムはイタイイタイ病の原因となった物質と言えば、いかに恐ろしいかがわかってもらえるでしょう」 さすがに近年は、中国国内でも食品の安全に対する関心が高まり、「だから、中国の富裕層は決して国内の食品を口にしません」と、水間氏が続ける。「中国は2%の人間が富の9割を握るといわれる究極の格差社会です。都会には、日本円にして年収1000万円クラスの人間が掃いて捨てるほどいて、彼らは日本産の安全で高給な食材を買い漁っているのです。中国人は日本が嫌いなのに、日本の製品に対する信頼感はすごく強くて、例えば、青森産のりんごは日本ならば1個、170円程ですが、中国では1個1000円。これがデパートで飛ぶように売れて
いますからね」 他にもイチゴのトチオトメやオホーツクのホタテ貝、マグロがブームだが、最も注目されているのは米で、特に魚沼産コシヒカリ。この4月に日本からの輸入再開が決まったばかりで、まだ出荷はされていないはずだが、旅行者が持ち出すのか、中国の大金持ちの間では、目の玉が飛び出るような価格で取引されているという。
先の中国人ジャーナリストが嘆息する。「外国産の食品しか食べない金持ちが、一方で、危険な食品を売って大儲けしている企業の経営者だったりするわけですから、時代劇の悪徳商人みたいな酷い話です。 今後、日本の消費者が安いからという理由で中国産の農産物をもっと買うようになると、さらに劣悪な農産物が日本に溢れるでしょうね。逆に、中国の金持ちは金に糸目をつけずに日本の食材を買い求めますから、どんどん一流の食材が中国大陸に流れ込む結果になりますよ」 中国のスケールとは比べるべくも ないが、最近、日本にも格差社会が到来した。放置すれば、最高級の魚沼産コシヒカリが中国人の大金持ちに買い占められ、日本人の口に入るのは中国米という本末転倒の状況が現実のものとなりかねないのである。
週刊新潮 2007.5.31号から http:// www.sh inchos ha.co. jp/shu kanshi ncho/
「飢えては食を択ばず」とは、宋代の禅僧、道原による「伝燈録」に収められた言葉である。だが、目下の中国では、たとえ飢えても、渇しても、食を択ばざれば、即ち、一命に拘わると見るのが常識だという。
(略)
年間6000億円以上も中国から輸入している農産物が、日々、スーパーの店頭に並んでいるのはご存知の通りである。その安全性について懐疑的なのは、中国事情に詳しい評論家の宮崎正広氏。「日本の大企業が現地支店に作らせている加工食品はかなり信頼できると思います。もし検疫で製品が止められたりしたら、大きなイメージダウンに繋がるので、厳しい自社基準を定め、検査要員を日本から送り込んで直接検査を徹底していますからね。問題は大企業とまではいかない貿易会社が扱っている農産物で、そういった会社は、検査要員を送り込む余裕などなく、中国人の仲介業者に全て丸投げなのです」
昨年5月、日本は残留農薬の規制を厳格化し、特別に残留を認める薬品を使用したもの以外の原則輸入禁止を始めた。だが、実際は、農産物がチェックなしに、水際を擦り抜けるケースが目立つという。
宮崎氏が続ける。「中国系の商人たちは抜け目がないので、例えば“今日、名古屋の検閲所は手薄だ”とか“横浜は厳しいらしい”といった内々の情報をリアルタイムで交換しています。その結果、目的地を横浜港から名古屋港に変えて規制の網をかい潜ってしまうのが常套手段になっているのです」しかも、水際防衛の抜け穴はこれだけではない。農民運動全国連合会の食品分析センターに籍を置く石黒昌孝氏によれば、「かりにチェックに引っかかったとしても、全品検査ではありません。点検率はせいぜい10%程度で、残りはそのまま通過しています。加えて、書類検査のみで通過する食品も沢山あります。ですから、検閲所の検査を通過しているからといっても安心することは出来ないのです」
では、スルーしてしまう農産物はどんな危険を孕んでいるのか。「中国産食品の中で特に危険なのは野菜です」。警告するのは、北京在住の日本人ジャーナリスト。「中国はその省ごとに独立した行政システムを持ち、他の省からの干渉を極端に嫌います。問題は、農産物のチェック体制で、仮にA省の仲介業者が、B省の農家から野菜を買い付ける場合、省が異なることがネックになって、その農家の農薬散布の状況を確認することはまずできません。このように省を跨いで取引される農産物は、遠隔地産農産物と呼ばれ、チェック体制が機能しないので、基準値を超える農薬が使われる可能性は非常に高いのです」
現在は日本に住む中国人ジャーナリストも、「怖いのは農薬だけではありません。漂白剤でお米やうどんを真っ白にしているなんていうのは可愛い方で、トマトを早く成長させるために夥しい成長剤を撒いた山東省の村では、4歳の女の子が生理になり、5歳の男の子に髭が生えたという話を聞きました。一昨年には、発酵を早めるためにプーアル茶の葉に下水を撒いた事件が発覚しましたし、去年は、下水に溜まった油を原料として食用ラードを作っている業者が摘発されました。奇形の家畜が生まれたニュースは日常茶飯事。政府は数年前から、上海や北京で野菜を買った場合、農薬を除去するために15分~30分くらいは水につけてから食べるようにと指導しているくらい」
より恐ろしいのは土壌汚染だという。中国問題に詳しいジャーナリストの水間政憲氏が説明する。「北京や上海、重慶などは長年の工業化のために、重金属が撒き散らされています。鉛やカドミウムなどの有毒物質が含まれていて、その土で野菜を作っているわけです。カドミウムはイタイイタイ病の原因となった物質と言えば、いかに恐ろしいかがわかってもらえるでしょう」 さすがに近年は、中国国内でも食品の安全に対する関心が高まり、「だから、中国の富裕層は決して国内の食品を口にしません」と、水間氏が続ける。「中国は2%の人間が富の9割を握るといわれる究極の格差社会です。都会には、日本円にして年収1000万円クラスの人間が掃いて捨てるほどいて、彼らは日本産の安全で高給な食材を買い漁っているのです。中国人は日本が嫌いなのに、日本の製品に対する信頼感はすごく強くて、例えば、青森産のりんごは日本ならば1個、170円程ですが、中国では1個1000円。これがデパートで飛ぶように売れて
いますからね」 他にもイチゴのトチオトメやオホーツクのホタテ貝、マグロがブームだが、最も注目されているのは米で、特に魚沼産コシヒカリ。この4月に日本からの輸入再開が決まったばかりで、まだ出荷はされていないはずだが、旅行者が持ち出すのか、中国の大金持ちの間では、目の玉が飛び出るような価格で取引されているという。
先の中国人ジャーナリストが嘆息する。「外国産の食品しか食べない金持ちが、一方で、危険な食品を売って大儲けしている企業の経営者だったりするわけですから、時代劇の悪徳商人みたいな酷い話です。 今後、日本の消費者が安いからという理由で中国産の農産物をもっと買うようになると、さらに劣悪な農産物が日本に溢れるでしょうね。逆に、中国の金持ちは金に糸目をつけずに日本の食材を買い求めますから、どんどん一流の食材が中国大陸に流れ込む結果になりますよ」 中国のスケールとは比べるべくも ないが、最近、日本にも格差社会が到来した。放置すれば、最高級の魚沼産コシヒカリが中国人の大金持ちに買い占められ、日本人の口に入るのは中国米という本末転倒の状況が現実のものとなりかねないのである。
週刊新潮 2007.5.31号から http://
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