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 毒物が混入したとみられる中国産小麦を原料に使ったペットフードを食べて、米国の犬と猫16匹が腎不全にかかって死亡したほか、約1万匹のペットが嘔吐(おうと)や食欲不振などの異常を訴えた事件が起こり、中国製の食品への不安が広がっている。中国では農薬使用の規制が少ないのに加えて、中国産の果物や野菜の輸出量が世界全体の12%を占めているためだ。米国などから今後、中国に対し、食品の安全基準見直しを求める声が強まることは必至だ。

 このペットフードはカナダ・トロントのメニュー・フーズ社が製造したもの。同社では苦情が殺到したため、昨年12月3日から今年3月6日までに米カンサス、ニュージャージー両州の2工場で製造された犬猫用フード95種、約6000万点を回収する騒ぎになった。

 ニューヨーク州食品安全当局によると、死んだ猫が食べた製品から、殺鼠剤に使用されるアミノプテリン」が検出されたという。米食品医薬品局(FDA)当局者は米紙、エーシャン・ウォールストリート・ジャーナルに対し、中国から輸入した小麦にアミノプテリンが混入していた可能性が高いと明らかにしている。
 アミノプテリンは酵素阻害剤の一種で、米国で抗ガン剤のほか人工中絶を目的に使われたこともあるが、胎児の先天異常を引き起こす副作用があり、現在は処方されていない。

 これに対して、中国の食物の品質検査を統括する中国国家質量監督検査検疫総局(質検総局)は中国から米国やカナダに、ペットフード原料として小麦を輸出したことがないとして、ペットフードの毒物の原因が中国産小麦であるとの指摘を否定している。

 しかし、同社に小麦を卸しているチェムニュートラ社は同紙に対して、メニュー・フーズ社への小麦は中国江蘇省の徐州安営生物技術開発有限公司から購入したと言明。同公司の責任者は「小麦は他の国を経由して米国に運び込まれた」と同紙に語ったという。

 米農務省によると、米国向けの中国産食品の輸入額は1980年の1億3300万ドルから、昨年には22億6000万ドルと26年間で17倍にも増えている。しかし、FDAによると、先月1カ月だけでも、中国から米国向けの食品を積んだ船舶215隻が食品の安全性に危険性があるとの理由で陸揚げを拒否されている。

 とはいえ、すべての中国の船舶を検査することは物理的に不可能で、ほとんどが簡単な検査だけで陸揚げされているという。

 日本では2002年に、中国産ほうれん草から基準量以上の農薬が検出されたことから、輸入停止措置がとられたことがある。また、中国保健省によると中国で05年、毒物が混入された食品が原因で9021人が食中毒にかかり、235人が死亡。また、人口の4分の1に当たる3億人が、食品が原因による病気にかかっているという。

 このため、米国などで今回のペットフード禍を契機に、「米国で中国産の食品に対して警戒が強まりそうだ」と同紙は指摘している。

ソース:産経iza
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/47500/
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